反転した鱒に合わせを入れた瞬間、水面が盛り上がった。
鱒はその太い胴をこちらに見せつける。
しかし、重みが乗ったのはせいぜい1~2秒程か。
タイミングの微妙なズレからか針先に引っかかっただけという感じだった。
ミスった・・・。 外れた。
少し早かったのか。
針を外した直後、鱒はヘッドシェイクを2回ほどして戻っていった。
さて、どうするか。この鱒はまだ可能性のある鱒なのか。
鱒が戻るとき、逃げるようなスピードではなかった。獲物を仕留めそこねて興奮した状態のままの様に見えた。
まだチャンスはある。
熱が醒める前に早く次のキャストを。ルアーもこのままで行くことにする。
そして、先程より1m上流に着水させた。時間を稼ぐためと鱒にレンジを合わせることを意識して。
ドカッ!!
ミノーを落とし込んでいく途中で今度は下から食いあげてきた。
しっかりと合わせを入れる。
よし、乗った!
PEラインがダイレクトに力を伝えてくる。ロッドがガクガクと大きく振幅した。
暴力的なファイトにロッドワークとドラグで対抗していく。
鱒が連続でジャンプした。ロッドを左右に寝かせて対処する。
しかし、ジャンプが止まらない。
まずいな、数mしかラインが出ていない状態で何度もやられると外れそうだ。
ドラグを緩め、鱒をダッシュさせるようにしてやっと治まった。
5~6回はジャンプしただろうか。
そのせいで空気を吸ってしまったのかしばらくして大人しくなってきた。
ようやく手元に寄せてネットに導いた。
正体はサクラマスではなくニジマスだった。
光を反射しキラキラと眩しく、銀色というよりはプラチナを連想させるグラマラスボディだった。
尾も太く、ヒレも立派であり美しい。
まさに見事な一美だった。
写真を何枚か撮影した後、鱒を流れに戻した。
今回、サクラは咲かなかったけれど虹を掛けることはできた。
Tackle
Rod Casket Triumph TRB77HS
Reel Shimano STELLA 3000HG
Line PE 15lb
Minnow サクラ用70mm 80mm 各種プロト