2012年9月下旬某日
岩手県北 太平洋に注ぐ河川の上流域とその支流
もう10月になり渓流の今シーズンは終了してしまったけれど、9月終盤の釣行で御紹介出来ていないモノがあるので今回はそれを。
2012年シーズンは終了間近。今年の夏は雨がろくに降らず記録的渇水になり、水の状態も悪くなってしまっているところが多かった。
当然、反応は鈍いけれども魚たちは川の中を泳いでいるわけで、やっと水温が下がった9月下旬になんとかイイ魚に出会いたかった。
そんな思いを巡らせながら、まだ暗い国道を北上する。
空が次第に藍から色を薄くしていく。
現地に着いたが、目当てにしていたところには残念ながら車が止まっている。仕方なく上下流を見て回り、適当なところから入渓した。
さっそく直ぐのポイントで8寸クラスのチェイスがあり、喰わせられなかったがこれからの展開を期待させる。
しかし、しばらく釣り上がるが反応は薄く、ミノーに掛かるのは20cm以下が数匹。
渓相がよく見えるこの区間は相当叩かれているようだ。昨日もおそらく攻められているのではないか。
らしいポイントからは反応がない。竿抜けを意識して、ガンガン釣り上がる。
こうなったら前日に釣り人が攻めた区間を突破していく気持ちで。
3,4時間も釣り上がっていくと反応が良くなってきて8寸クラスが顔を出す。
一見流れが平坦に見える浅い場所でも、両側に葦が続いていれば魚がその下へ身を寄せているのが分かった。 そんなに上手とは言えないキャストだがそこへギリギリを狙ってミノーを落としていく。
こういうところは魅力が無いと見えて人が攻めないものなのだ・・・。
と思いながら、レテノールをアップでキャストしていると葦際から大きなヤマメが出てきた。
尺は有るように見えた。1m程しか追ってはくれなかった。
正直、あれ程大きいのが入っているとは思わなかったので油断していた。
ここで獲れるかどうかが上手い人との違いなんだなと自分の腕の現状を自覚する。
しかし、魚が着いているポイントの傾向が分かったのは収穫だ。
川を上がり、今度は今の川の本流へ車で移動する。
ある橋のところから左へ曲がる。直感的に気になったのだ。
100m走ったところで車を止める。川へ降りると、ちょうどそこは瀬になっていて深さがあり流れが速く、片岸は葦になっている。
ココは居る。
瀬の下流へダウンで投げるとヤマメがミノーを齧りついた。
対岸の葦際へアップクロスでアプローチするとイワナが出た。
短い区間だが魚影は濃い。
川を渡る。
瀬の上流は左からカーブしていて対岸の葦を勢いよく洗っている。程よい深さもある。
レテノールを上流のカーブの始まりへと投げ入れる。そうやってドリフトさせながら葦際を平行に流してみる。流れが速く、カーディナルでの巻取りは大変だ。
そうして数投したところでヤマメが追ってきた。ここは逆光で足元近くにならないと水中が見えないのだが、運良く見える範囲でバイトしてくれた。
秋色のヤマメがネットに収まった。
それほど大きくはないけれど、十分感動できる美しいヤマメだ。
いろんな色が凝縮したように見える、このヤマメの肌。
やっと今日の釣りが形になったような気がする。
何枚か写真撮影に付き合ってもらい彼を流れに帰した。
この魚が出たけれど、ここのポイントにはまだ入っているんじゃないか。
そういう雰囲気がこのポイントにはあった。
続けてミノーを投げ入れる。葦際ギリギリを流してきたミノーが逆光からようやく見える様になったところで、その後ろにデカいヤマメが付いてきていた。
もうリトリーブする距離が無い。咄嗟にミノーをターンさせ時間を稼ごうとしたが、ヤマメはそのまま流れに乗って下って行ってしまった。
軽く尺は越えていただろうそのヤマメは婚姻色を浮かばせた雄だった。
それがはっきりと分かるほど近くまで追ってきた。
正直、さっき釣った美しいヤマメの存在は一瞬にして色褪せてしまった。
それからも暫く釣りを続け、悪くない魚を掛けることは出来たが、あのヤマメの姿が頭から離れることはなかった。
Tackle
Rod Casket Revolution RB55MS
Reel Abu Cardinal 33
Line ナイロン5lb
Minnow Rhetenor 48S 薄型55mm 試作品42mm