砥ぐ

ハンドメにおいて使う道具の一つにポンチがある。

5cmクラスのミノーを製作するときに使う頻度が高いのは2mm~5mm前後だろう。

1mm、1.5mmも持っているがなかなか出番はない。

 

何百回も打ち抜いていると段々切れ味が落ちてくるのが分かる。

となると買い替えるか砥いでやるしかないのだ。

ホームセンターなんかでポンチを買う時に何本か見比べると仕上がりがかなりまちまちだ。

これは全然切れないだろうといったものもあり注意が必要だ。

セットものなんかは刃付けがされていないように見えるものさえある。

こんなもので革に穴が開くのか。

 

まともなものはないのかと馬具の加工・修理もしている革製品のお店(盛岡の)にポンチを買いに行った。

目当てのポンチ2種類を見つけて何本か購入した後に聞いてみた。

 

職人の方はポンチの切れ味が落ちたら砥いで使っているのでしょう?

 

返ってきた答えは、

高いものではないから次も買えばいいよ。

 

残念ながら論点が少しずれたものだった。

私は、職人と呼ばれる人ならば自分の道具の手入れが出来て当然であり、簡単に使い捨てる筈はないと思っているのだが。

そういう人ならば使い捨てにするようなものなど選ぶはずがないだろうと。

既製品だけではなく道具を特注したり自作したものを大事に手入れして使っているはずだ。

 

まだ幾つか伺いたいと思っていたこともあったのだが、期待した回答はあまり得られそうにないと判断してすぐお店を後にした。

 

お店で買ったポンチは専門店で扱っているものだけあって、仕上がりはソコソコ綺麗で悪くはない。

それで、今もそのポンチを使っているのかというとそうでもない。

買ったその日に少し使っただけだ。

 

お店での一言が気になって自分で元のポンチを研いでみることにしたのである。

砥石は持っていたので水砥ぎしてみた。

最初は上手くいかなかったが1時間もしない内に形を整えられるようになってきた。

そして、新品以上の切れ味を取り戻した。

切れ味なら専門店で買った物にも負けない。

ミノーをハンドメするには十分だ。

刃先の角度を鋭角に整えたので元よりも打ち抜きやすくなり使いやすくなった。

 

砥石が削れてもう限界だ。もうすぐ新しいのを買ってこなければならない。

次はもっと大きな砥石だな。

 

大工さんは鋸を何回も砥いで使っているそうです。
何回も研ぐうちに幅が狭くなり半分程度になってしまうそう。
ノミも満足に砥げるようになるまで数年は掛かるといいますから、それに比べたらこんなポンチを研ぐのはお遊びのようなレベルですね。