タイトルだけでピンと来た人はかなりのモータースポーツ通ですね。
今回は釣りとは直接関係はない話です。
かつて、短い期間(実質11年程)ながらも究極ともいえる長距離スポーツカーレースがありました。
私が一番好きなレース。
1982年から1993年まで、80年代後半にピークを迎えるグループCには当時、日本メーカーも参戦していてようやく世界の強豪と肩を並べようと急速に力をつけレースを盛り上げていた。
それはそれで魅力的なのだが、なんといってもグループCが他のカテゴリーと違っていたのはレースごとに使用できる燃料の量が厳しく制限されていたところ。
おおむねリッター2kmの燃費が求められていた。
車両寸法の細かい規定はあるもののエンジン形式は原則自由で、L型・V6~V12・水平対向・ロータリーとなんでもOK。
世界最高峰のル・マン24時間耐久レースでの勝利を最終目標として各メーカーが鎬を削っていた。
24時間でトップチームは約5,000kmの距離を走る。
平均時速は200kmを越える。
使える燃料は2,550Lしかない。
ただやみくもにアクセルを踏んでいては24時間走る前に燃料が尽きてしまう。
かといって、セーブして走っていては勝つことは出来ない。
如何に少ない燃料で速く走れるかを競う、究極の技術競争だったのですね。
表彰台の頂に上るという目標は同じですが、メーカー毎のアプローチがそれぞれ違っていてそれが最大の魅力なのです。
あるメーカーはお家芸の水平対向を高加給し、またあるメーカーは市販車ベースの大排気量エンジンに低加給。
ライバルはターボを使う中7000ccものV12大排気量NAで挑むもの。
極東の島国からはマルチロータリーが。
これらの車は700馬力以上の高出力を叩きだし350km/h以上のスピードを誇りながらリッター2kmもの低燃費を実現していた。
メーカーそれぞれの方法でパフォーマンスを競う。
結果が出ればどんな方法でも構わない。
そんな狂乱とも思えたCカーレースですが90年代に入るとグループCの燃費規制が一部クラスにて撤廃。
エンジンはF1と同じNA3.5Lが義務づけられ、TV放送枠に収めるため世界選手権のレース距離の短縮といった政治問題に巻き込まれました。
この様な変更にレースに魅力を感じられなくっためか参戦するメーカーは激減し、レースは急激に華やかさを失っていき、遂には93年を最後にグループC自体が消滅。
この燃費規制のレギュレーションは技術が発展途上だった時代だからこそ上手く機能し、レースがあれほどの盛り上がりを見せていたのでしょう。
20年以上経った現在では、このレギュレーションをそのまま採用しても各社、シュミレーションによって最適解が導かれ、同じような排気量の同形式のエンジンになってしまい個性が出てこない。
なんでもあり。
技術の戦争。
現在のLMPにCカーの面影を感じることは出来ますが、このようなレースは今後2度と実現することは無いでしょう。
私には現代においてもグループCが輝いて見えるのです。
ロスマンズポルシェ・シルクカットジャガー・チャージマツダ・ザウバーメルセデスがコースを泳ぐ様をリアルタイムで見てみたかった。