チッチッと鳴く黒光りした彼。
今までポイントがあいつのせいで何度ダメになってしまったことか。
彼の名はカワガラスという。
里川や本流筋では見かけないが、山間の渓流ではよく目にする鳥だ。
釣り上っていると10m先あたりで水浴びやらしてることが多いが、こちらに気付くと逃げていくのだが大抵川に沿って上流へ向かって飛んでいく。
その時、1m前後の高度で飛んでいくもんだから魚はびっくりして警戒してしまう。
それで少し離れるとUターンして戻ってきて下流へ飛び去っていく。
同じように1m位の高さを飛んでだ。
2回も低空飛行されてはお手上げで、数十m先までめぼしいポイントは魚の反応は極端に悪い。
逃げるなら上に飛んでっていただきたいのだが、澄ました顔の彼はこちらの願いなど聞いてはくれない。
稀に山岳渓流にカモが居る時もある。
どうしてこんな山奥の川に居るのか不思議だ。
よっぽど魅力的な何かがあるのか。餌なら人里に近い池や川の方が豊富だと思うのだが。
彼もこちらに気付くと上流に逃げるのだが、やっぱり肉付きが良くて重いからか離水には助走が必要でバシャシャシャー!と盛大に水しぶきをあげながら飛び立っていく。
それで困ったことに30m先位で着水。
こちらが近づくとまた、バシャシャシャー!
これを3、4回繰り返し、100m位は釣りにならない。
う~ん、どうにかして1回で上空に飛び立ってくれるようにお願い出来ないものかと遭遇するたびに思うのだけれど未だにこれといった方法は思いつかないままだ。