カーディナル3Eのメンテと問題点

すっかり記事を書くのが遅くなってしまいました。

先日、知り合いの方の3Eをメンテしました。

3Eをいじるのは初めてでしたが、基本的にどうということはありません。

ばらして注油して組むのは他のカーディナルと同じです。

共通の部分は今回は省きます。

3Eの特徴と言えば、サイレントストッパーですがどんな構造になっているのか興味が有りました。

ばらす前にピンセットで挟んでクイクイ動かしてみますが、第一印象としては随分ガタが大きくて貧弱な造りだなというものでした。

大雑把にいえばギアとストッパーを細いワイヤーでリンクさせているだけです。

ハンドルを前後に動かして、その動きを観察して、こんなもんか~と思って全部ばらすかと思っていたところ、ふと違和感が。

やや!ギア側のラチェットが外側に大きくめくれているではないか!

 

 

このままめくれが進行すれば、もうすぐストッパーが効かなくなるところまでキテいます。

どうしてこんな状態に?PEで思いっきり根掛かりにでも合わせたのか?と一瞬思いましたが、ユーザーさんはナイロン使用です。

4lb程度の通常使用でこんなふうになるとはちょっと考えられません。

 

3や33でも使い込めばここの部分が少しずつ変形してきたりしますが、ここまでのものは初めて見ました。

これはサイレントストッパー機構に何かありそうです。

もう一度、ハンドルを巻いたりしながらその動きを注視すると原因がすぐにわかりました。

 

ラチェットの噛み合いの状態をよく見てください。

上の写真では、ラチェットとストッパーが深くしっかりと噛み合っています。

これが通常というか、本来あるべき状態です。こうでなければなりません。

これが問題の状態です。

今度は爪の先端しか掛かっていません。目測0.3mmといったところでしょうか。

一応、これでもローターは逆転しませんでした。

ハンドルを巻いたり止めたり繰り返して何度も噛み合いの状態を見てみると、少なく無い確率でこのような状態になることが確認できました。

というか、毎回噛み合いの深さはまちまちです。

面で受けるべき荷重を点に近い状態で受けるようになってしまっているのです。

これではいくら伸びのあるナイロンを使っていても負担が大きすぎます。

素材は硬いステンレスであるからなんとか今まで耐えられたのでしょうが、PEを使っていたら完全にめくれて壊れてしまっていてもおかしくなかったでしょう。

 

はっきり言ってこのサイレント機構は問題あり、欠陥品でしょう。(気分を悪くされた方が居たらごめんなさい)

構造変更したのならメーカーはその部分の耐久性を保証しなければなりませんが、これはちゃんとテストして確認したとは思えません。

ちゃんとしばらく実釣テストした後に分解・確認すれば必ずわかる問題です。

とりあえず機能したからこれで良し! というレベルのものです。

 

確か3Eはカーディナルを管理釣り場でも使えるようにという風にして企画されたと記憶してます。

そのためのサイレント機構なのでしょう。

確かにストッパーのノイズが無くなればアタリを感じ取るのに有利です。

ですが、よく考えてみるとカーディナルで管理釣り場で使われているような細糸は(管釣りだと3lb以下でしょうか)明らかにミスマッチです。

オリジナルの設計当時の40年前にそんな細いラインが使われていたでしょうか?

カーディナル3クラスに当時想定されていたラインは5~8lb(1.2号~2号)程度だと思いますし、実際その位がベストマッチでしょう。

そもそもそうした管釣りで使おうという企画に無理があったと思えてなりません。

 

ラインローラーの形状変更など細糸に対応させようという努力は見えますが、このサイレント機構はリールの寿命を縮めるのに間違いありません。

やっかいなことに3Eのギア関係はパーツ取り寄せ不可で、修理対応のみとなっています。

残念ながらギアの馴染みが出る前にメーカー送りになっているリールも少なからずあるはずです。

PEだとなおさらです。

 

ユーザーさんにはこの点説明して、サイレント機構を取り除いて、通常のストッパー仕様に変更して使っていただくことにしました。