2022年9月29日
北上川水系支流
去年(#4 イケメン岩魚と紅山女)見つけた山里に流れる細い流れ、峠を越えれば猿ヶ石水系だ。綺麗に色付いたヤマメを釣って気を良くして、またの出会いを求めて再訪した。
ちょうど1年後に訪れた流れは変わり果てていた。
1年前に釣りをした流れはそこには無かった。
川の周りに在った木々が全て伐採され、細切れにされた材木が無造作に一面に放置されているのだ。一瞬、言葉を失った後、やるせない思いと口に出すのが憚れるダーティーな感情が浮かんだ。
自然災害なら受け入れるしかないが、材木利用のための伐採や植林し直すわけでもないのに、なぜこんなことをするのか。地元住民の要請とも思えず、重機の入った痕、木々の根の支えを失った斜面の地表からは大きな岩石がむき出しており、不安定で危険。砂の多い地質でこの状態では、まとまった雨やちょっと大きな地震の時には土砂崩れがすぐに起きてしまいそうだ。もしそうなったら、明らかに人災だろう。
すぐ上には細い道路が通っており、小さな集落まで続いている。
こんな状態でもあきらめきれずにロッドを持って、流れまで降りてみた。
しばらくルアーを通すとチェイスは確認できたけれど、背後にいつ崩れるか分からぬ岩が迫る状態に危険を感じ、早々に上がった。
この流れは死んだ。
がっくりときたけれど、上には流れが続いているのだ。
前回、1年前は堰堤で切り上げた、堰堤上は伐採されずにそのままだ。
試しにやってみることにする。
下り口を見つけて、入渓。細い流れは、さらに狭まり、ここに入る釣り人を限定する。
両岸から垂れ下がる小枝や笹が、弾道を制限する。
広い所でも、川幅は3mも無い、それに河原も少ない。
流れに足を浸けたままの遡行、ちょっとした不注意で直ぐに走られる。
このヒリヒリとした状況が好きだ。
早速、イワナに走られる。気を引き締めて、次のポイントに向かう。
ゆっくり水をかき回さないように足を進めて、キャスト動作もなるべくコンパクトに。
応えは、すぐに出た。
この区間では大場所に感じる深瀬(と言っても、水深は膝上位)、落ち込みと中盤に岩が沈んでいる。魚が着いているのは、そのあたり。
奥まで投げ入れて誘う、2匹が反応するのが見える。3投目程で、中盤の岩の前でヒット。そのまま、一気に巻き寄せてネットで掬った。
優しさも感じる顔つきの9寸。
水温があまり下がってないせいか、色づきも半ばといったところ。この沢のヤマメは、婚姻色が出てもパーマークが消えにくいタイプのようだ。
ネットを置ける場所を何とか見つけて、手短に撮影して流れに返す。
落ち込み付近で、25位のもヒットしたが乗せられなかった。
短い区間ながらも、その後、8寸クラスを何匹かキャッチして楽しませてもらった。
やがて、田んぼ脇で護岸になってしまったので、土手に上がりちょっと上まで歩いて流れを確認する。ルアーを流せる場所が少なくなり、小さな橋の手前の緩い瀬に護岸上からいたずらのつもりで投げ入れてみる。
リップが水を掴み切らず、ノタノタと流れるミノーに下から勢いよく食いあげる魚。
しかし、空振り。
ヤマメだった、しかも尺ありそうなサイズ。
失敗したーっ!雑な釣りをするから、こうなるんだ。
1時間前の緊張感はどこに行ったのか。
こういう時に手を抜かないのが、上手い人と凡人を分けるだと痛感。
壊された川、その上の流れにはまだ何とか、綺麗なヤマメが育つ環境が残されていた。
これからも変わらないことを祈るばかりだ。
2022年9月22日
北上川水系支流
水位計を確認してようやく水が引いたようだ。
去年に初めてやってみた本流の区間、その時は残念ながら後追いだったので食いが浅くてバレてしまう魚ばかりだった。
しかし、10バイトはあって釣れた中に26cmが居て、釣れるイメージが湧かなかったこの本流で、もしかしたら期待できる区間なのかもしれないと思っていた。
さて、当日。早起きして、現地着。幸いながら、他に人は居ない様。
手早く準備して、62のロッドを手に土手を降りる。
水位計の値から予想した状況よりも、ちょっと水が少ない印象。
本流なので釣り上がると流石に押しの強い流れを感じる場所もあるけれど、この夏の繰り返された増水の影響で川底が均されてしまったよう。
深さのある淵も残っているけれど、底はフラットに近く魚にとって居心地の良い状態とは思えない。反応が殆どないまま退渓点に到着、得られたのは僅か1バイト。
貴重な朝まずめの時間を無駄にし、どうするかと思案して、どうせ終盤なのだから好きな釣りをすることに。
細い沢筋を開拓だ。10年以上前にちょっとだけやって一跨ぎの規模のくせに25cmクラスを何匹か見かけたところが有ったことを思いだす。
地図を見て、この沢だったかな?と見当をつけ向かう。
結果からすると違う沢だったけど、細い橋の袂に駐車して入渓。
小さな小さな堰堤の落ち込みにルアーを放り込むと走る影、取り合えず魚は居ることに安堵して進む。一跨ぎの流れに最初はポイントらしい場所が無かったけれど、田畑から離れるにつれ少しずつ流れに変化が見られるように。
残念ながら、こんな細い沢にも一昨日辺りの足跡。
こんなところに来るバカは自分だけではないと9月の厳しさを実感して、木の根元を洗う流れにキプリスを通すと待望のヒット。
嬉しいことに小さいながらもヤマメであった。
小さな堰堤と護岸の脇の流れは何とか深さがある、先行者も同じところを攻めているから出る出ないがハッキリしているが、何か所目かの深みで待望の手応え。
生意気にもちょっとドラグを鳴らす赤みを帯びた魚体を手早く引き寄せる。
やっと釣りあげた雄の26cmは、例年よりも色付きが遅い印象。
例年ならもっと紅を浮かばせているはずなのだけど、山が冷えてないせいか水温が下がっていない影響か。水温は、この時期にしては高めの15℃。
沢筋の魚はサイズの割に、成長がゆっくりとしているからか顔つきがキリリとしていて好きだ。
こんな細い流れにもちゃんと魚が居る。こんな流れだから、入る人が少なくて何とか残っているとも言えるけれど、危うい環境で逞しく種を残してくれることを願ってリリース。
直ぐに同サイズの次のヤマメをヒットさせたけれど、乗せられず。
切り良く終われる堰堤までに小さめのイワナとヤマメを数匹追加して、川を上がった。
先行者が無ければもう少し上が釣れたハズ、来年も様子を見にこよう。
Tackle
Rod 本流 バスブランク改62UL 渓流 Espada51ML
Reel Abu Cardinal 33 (Smooth Drag washer tune)
Line 本流 PE08 渓流 ナイロン 5lb
Minnow Cypris48S Amathon50ST 本流用プロト Arrow67SS
2022年9月8日
沿岸河川 県北内陸河川
早朝、同行者のクルマに乗り込み沿岸方向へ向かう。
昔ながらのディーゼルエンジンが唸りを上げ、峠を上る。
着いた先は有名河川上流部。
果たして、川の様子は凄く・・・水が多いです。そして、冷たい、キンキンだ。
ゲーターで膝上までの入水は辛いほどだ。
8月の多量の雨の影響が大きい、凄い量の砂利が流れた跡に低水温高水位。
不安は的中、好意的な反応は期待できないと判断して1時間もやらずに移動をすることに。
内陸に戻り、真夏に一度やった河川へ。魚は居ることは分かっているので、ボウズは無いハズ。前回は、アブの猛攻と暑さで大変だった。今回は、大分過ごしやすい分集中できる。
下流から釣り上がり、早々に小さいながらもヤマメが掛かり一安心。
ちょっと進んだ先で、同行者に良いサイズが反応してモチベーションも上がる。
これからですよ。
この川も砂利が流れてきた様子が窺え、底の状態が変化してるだろうけど、相手してくれる魚は残ってる。
しかし、テンポよいペースで掛かるわけでもないのが9月らしい。
何年か前に来た時に、印象に残っていた浅い瀬に差し掛かる。
その時に掛かったのはニジマスだったけど、パッと見でそれ程おいしいポイントに見えないからか他の人はスルーしがちな場所。
9月はこういう場所も侮れないのヨ、と思いつつ、手前の流れに投げ込んだ緑金のミノーに激しい衝撃。
チェイスは見えなかったから、目の前に流れてきたミノーに食いついたか。
ドラグを鳴らして抵抗する相手に、またニジマスかなと引き寄せると見えてきたのはパーマーク!
ラインだけではなく釣り人のテンションもビンビン⤴
間もなく、ネットにお出迎えした相手は、まだ夏の白さも残るヤマメであった。
腹を下にして立つ厚い魚体に、いったか⁉と期待してメジャーを当てるが、僅かに届かず。
優しさも感じる顔つきの雌。
婚姻色が出始め、黒ずみはまだ出ないタイミングの美しさ。
鰓蓋の紅の縁取りが鮮やか。細かなディテールを観察する。
こういうサイズとは違った価値もある。
朝一からの転戦で、何とか釣れた。
あと3週間生き延びて種を繋いでくれますように。
Tackle
Rod Espada51ML
Reel Abu Cardinal 33 (Smooth Drag washer tune)
Line PE08 ナイロン 5lb
Minnow Cypris48S 他
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