2012年10月中旬某日 1日目
某山上湖
今年の夏は川だけではなく湖にも影響を及ぼしていたようで、毎年秋に楽しみにしているヒメマスの接岸も例年よりも遅れていた。
ネットで情報収集して7~10日程遅れているだろうとの予測を立てる。
その日程に合わせてラインやルアーの選定、シングル・アシストフックの用意を数日前から行った。
当日、いつものように暗い内から車を走らせ湖を目指す。
長い道程だが、この時間が好きだ。あれこれとシミュレートしていくうちに夜明け前の峠を越え、目的のキャンプ場に車を停める。
途中、買い込んできたおにぎりやパンを急いで口に押し込んでお茶で流し込む。
周りが徐々に明るくなってくるのに合わせて、ウェーダーを履き、タックルをセット。
そして、夜明けの湖岸に向かって歩き出す。
一年ぶりに見る湖は相変わらずの透明度で美しかったが、夏の少雨の影響で水位が下がってしまい岸が4~5m程沖へ向かっていた。
朝一は居着きではなく回遊してくる個体に狙いを定めて8gのスプーンをスナップにセット。
メーカー品の無塗装のブランクを買い、スローで引いても泳ぐようにアールを調整しオリジナルカラーで塗装したものだ。
小さな流れ込みの前に背びれを出して泳いでいる奴がいる。50cmは無いが良いサイズのヒメマスかサクラマスだろうか。
何投か近くをトレースするも、こちらの気配を察してか居なくなった。
1投毎に数歩歩いてキャストを繰り返していると、魚が跳ねた。急いで近くまで走っていき、スプーンを予想した進行方向へキャストする。
3投目にヒット。鋭く走ることはしないが重々しく首を振って抵抗する。
そうして手元に寄ってきた魚は雌のサクラだった。
もうすぐ産卵を迎える個体で体は黒くくすみ、尾びれが傷ついている。この近くで産卵床を作っているのか。
こういう個体を釣ってしまうと、正直ちょっと申し訳ない気持ちになってしまう。
サクラはこの時期は禁漁であるので記録写真を数枚撮った後、丁寧にリリースする。数年後、彼女の子供たちに出会えることを願って。
まだ夜明けから30分程しか経っていない。
湖は減水しているが、これからの展開に期待を持たせてくれる。
そういえば去年もこのカラーのスプーンで雄のサクラがヒットした。
サクラの興味を引くカラーらしいな・・・、来年のサクラ用ミノーでも試してみよう。
そう思って一旦そのスプーンをスナップから外し、別のスプーンに付け替えた。